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理想的な身体づくりへの私の助言・提案として…

 大学で学んだ運動生理学・解剖学を土台に、練馬区立健康増進センターで運動生理学の権威でいらした所長の下14年間公務員として働きながら得たもの、空手から得たもの怪我から得たもの、そして生活のほぼ全てをボディビルで勝つための生き方にした経験から得たもの。
・・・文字として表現するのは難しいのですが、私の所に身体づくりを学びに来て下さる人達に、基本のキの字として伝えていること等も含めて、コラム形式で2~3週間毎に少しずつ内容を変えながら紹介してみたいと思います。

コラム37 基本的な身体づくりのための食事摂取方法と「減量」(その3)

今回は、糖質の摂取について。

私の場合、試合で極限まで体脂肪を落としていく時でも、糖質については摂取の割合を総摂取カロリーの6割(主食となる穀類の摂取をそのうちの7割程度になるようする)を、常に保つ様にしていました。総摂取カロリーを落としていくと糖質の摂取も比例して減らす事になる・・という事です。(たんぱく質量は体重1kgあたりの必要量をキープする形です)

それを土台としながら無駄なものや無駄を作る食べ方を改善し、加えて、しっかり筋肉量の多い身体を作っていれば、一般的な「脂肪が削ぎ落とされた引き締まった身体」を作ることは可能と考えています。(試合で勝つための減量となると、そこからオーバーワークを課すような調整も必要ですが)

 

糖質を摂取し血糖値が上がれば、「合成」の働きを担うインスリンが分泌されます。インスリンは血中脂肪のエネルギー化を抑制し、血中脂肪を効率よく脂肪細胞に取り込ませるという、脂肪の「合成」の役目も持っているため、糖質摂取の仕方に気を付けないと、糖質割合を6割に保ったままでの減量は難しくなり体脂肪を増やす原因にもなります。

ただ一方、「合成」という働きは

⇒ブドウ糖のエネルギー限としての(グリコーゲンとしての)合成

⇒筋肉の合成

⇒身体の神経細胞も含めた様々な細胞・組織を正常に機能させるための脂肪の合成

といった、人が健康的に若々しくに生きるための重要な働きでもあります。

減量だからといって、「合成」をさせないように血糖値を上げない食事をしていれば、今度は身体を元気に動かすための糖や脂質のエネルギー合成やタンパク質合成がうまくいかなくなり、除脂肪体重の低下やそれに伴う基礎代謝の低下を招くことにもなりかねません。このため、少ないインスリンで効率よく糖やタンパク質の合成を行うことができる身体の機能づくりが大切になります。

 

健康増進センターに勤務していた時に、肥満度10%以上の女性を対象にした3ヶ月の健康づくり教室の運動指導を担当させてもらった事があります。この時体質改善の調査のために、ブドウ糖負荷試験による血糖値の変化とインスリンの上昇について、教室開催の前後に調べさせてもらいました。 この時、肥満度30%を越える被験者は、急激な血糖値とインスリンの上昇が観られました。そして更に、インスリンの分泌量が高いのに、血糖値が下がらない状況が顕著でした。

(グラフ1)肥満度別に見た糖負荷試験における血糖とインスリンの変化

インスリンの効き目が良ければ少量で血糖のコントロールが可能になりますが、効き目が悪ければ血糖値を下げるためのインスリン必要量が増え、インスリン血中濃度が正常値より高くなります。そしてそれは血中脂肪を効率よく脂肪細胞に送り込む手助けをすることになります。

このインスリンの効き目のことを“インスリン感受性”と呼びますが、これは体脂肪量の増加や運動習慣の減少、バランスの悪い食事によって低下します(インスリン抵抗性が出来た状態)。

上記の調査時にインスリン抵抗性を示した集団の、糖質割合の平均は45%と低く、脂質の摂取割合の平均が30%を超えていました。食べ方としては主食を減らして嗜好品や脂質の高いものを多く摂取する傾向です。

3ヶ月の生活習慣改善プログラムの中で、食事面では「主食は3食、適量を必ず摂取する」「副菜を取る習慣」「嗜好品を減らす」といったアドバイスを中心に、糖質割合を50%以上に引き上げ、脂質の割合を25%以下に抑えたところ、肥満度20%未満の被験者と同じようなグラフまで改善し、人によっては体脂肪が顕著に低下した人もいました。

日頃からバランス良い食事を心がけ、インスリンの効き目を良くして肥りづらい身体づくりをしていく事がまず大事なのです。
 

減量中、私が糖質を摂取するに当たって特に気を付けていたのは、「血糖値の急上昇を極力避ける食べ方をする事」・「糖質は主食となる穀類を中心に取る事」・「就寝前の最低3時間はインスリンをできる限り分泌させない生活」(試合の減量期であれば就寝の最低4時間前に全ての食事を済ませました。お腹がグゥ~グゥ~鳴りながら寝る状況ですが、スムーズに減量が進んでいきます)

「血糖値の急上昇を極力避ける食べ方」についてですが、血糖値急上昇と関わる要因は何点かあります。

中でも「主食となるものの種類とそのGI値」「食べ合わせ」「食事を取るタイミング」は大きな要因となり、これらについてはちょっとした食事の方法で改善できる点かと思います。

 

⇒白米食を玄米食や五穀米などの食物繊維の多い主食にする。

食物繊維の多い副菜をしっかり摂取できていれば、白米などの精製されたGI値の高い主食を選択しても、そこまで減量するにあたって大きな問題もないと私は思います。ですが、食物繊維の多い野菜やキノコ類・海藻などの副菜をまずしっかり食事前半に取る習慣は意外と大変ですから、主食自体に食物繊維を多く含み、血糖値を急激には上げず、適度な上昇をもたらす食材にしておけば、減量はしやすくなるかと思います。

 

ただし、デンプン食品のGI値、果物のGI値、脂肪を置く含む食品のGI値は、そのGI値を決める要因が全く違います。血糖値を上げづらいからと果物を穀物の代わりに主食にする様な事は避けましょう。重要な「合成」の機能ががうまく働かなくなったり、中性脂肪を増やしてしまう結果にもなります。

 

⇒活動量の低くなる時間の食事の前は、食間を空けすぎない

食事と食事との間の時間を空けると血糖値が下がり身体の細胞自体もエネルギー合成を強く要求するため、次の食事での血糖・インスリン反応が強く出ます。

これから活動を始める朝食時であれば、血糖値上昇が、身体活動や脳を活発に働かせるためのエネルギーとして使われやすいのですが、身体活動量が徐々に下がる日中に食間を空けすぎる食べ方をしていると、インスリン値の急上昇を招く可能性が大きくなります。(主食を抜くダイエットの場合は問題ないでしょうけれど・・)

だからといって食事の回数を増やしすぎたり、ちょこちょこ食いをしてしまうと、今度は常に血糖値が高い状態が続くことになります。若い時には問題は起こらないかもしれませんが、年齢と共にインスリンを分泌させる膵臓にも負担を掛ける様になります。全てにおいて言えることかもしれませんが「極端」は避けた方が良いでしょう。

次回も「減量」を考えた身体づくりの食事について、もう少しだけ書こうと思います。

また2週間後位の更新を予定しています。

身体づくりに関する 簡単なアドバイス 

動きの軸や支点を考えてトレーニングしよう

 身体を動かすときに何も考えずに動かすと、自分のクセがそのまま出た動かしやすい動きとなります。自分では左右対称の動きをしているつもりでも、全くもって非対称な動きとなることも多くあります。

スポーツなどについては動きのほとんどが左右非対称となりますから、そうした動きの中でもっともパフォーマンスを上げやすい動きを追求すべきですが、トレーニングを非対称な動きで行なってしまうと筋力の左右差を増大させて、それが痛みや怪我の原因を作り出す可能性もあります。

 これを防ぐために最低限意識してほしいのは動きの支点と方向。左右に身体を倒したり捻ったりするだけでも無意識に行なうとおおよそ左右バラバラな動きになります。体幹であれば動かす支点が「みぞおち」なのか「へそ」なのか、・・・支点の分かりやすい腕の曲げ伸ばしであっても、上腕をどの方向に向けて前腕をどの方向に向けながら上げているのか?など、常に意識しながら行なう事が大事です。

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