理想的な身体づくりへの私の助言・提案として…
大学で学んだ運動生理学・解剖学を土台に、練馬区立健康増進センターで運動生理学の権威でいらした所長の下14年間公務員として働きながら得たもの、空手から得たもの怪我から得たもの、そして生活のほぼ全てをボディビルで勝つための生き方にした経験から得たもの。
・・・文字として表現するのは難しいのですが、私の所に身体づくりを学びに来て下さる人達に、基本のキの字として伝えていること等も含めて、コラム形式で2~3週間毎に少しずつ内容を変えながら紹介してみたいと思います。
コラム71 私がボディビル競技者として戦っていた時代のシーズンオンとオフの食事の考え方
前々回のコラムで「私の選手時の年間を通したピリオダイゼーション(食事内容も含めた考え方)」というテーマでコラムを書きました。食事の内容について詳しくは書かなかったこともあり「食事の内容は、オンとオフでどんな違いがあったか?」といった質問を受けます。
これについては、普段の食事内容や食べ方(PFCバランスや、どんな生活リズムを送っているかなど)や、減量中にどんな食事で体脂肪を落としたか?によって差が出てくるものなので(例えばケトジェニックダイエットによって、試合までに体脂肪を落とした場合は、オフの食べ方も、それに合わせた内容にする必要が出てくるでしょう)あえて詳しくは書きませんでした。
但し、ボディビルの選手として身体づくりをされている方が、シーズンオフに入っても体脂肪を増やさないように主食量を極端に少ないままで過ごしたり、逆にオフシーズンには減量期に食べられないものをなんでも自由に食べてしまうなど、自分の代謝量や活動量の捉え方、栄養素摂取の意味合いを把握できていないと、私だったらそれは絶対にしないけれどなぁ…と感じる食べ方をされる方もいるようです。
一般的な健康づくりであれば「体脂肪を増やさないようにしながら筋力づくりをする・・」これで十分に健康的な身体をつくることは出来ます。しかしながら筋量をできるだけ増加させて、それを競うボディビル競技者としての身体づくりならば、食事面においても「筋量を増やす」「脂肪を落とす」という2つの局面をしっかり分けて、年間を通した計画を立てた方が、結果につなげやすくなるかと思います。
今回はあくまでも私自身の身体づくりとして、「オフでは「筋肉量を増やす」のを目的としてどういった考えでどの程度の量をどう食べたか、減量中にはどんなものをどの程度減らして食べたか?について、前々回に書いた内容から、少しだけ突っ込んだオンオフの食事内容の差について書いてみます。
「身体づくり」の2つの局面
筋量を増やす =体たんぱく合成を優先させる
筋量を増やすためには、ある程度体脂肪も付く環境に身体をおく必要も出てきます。これは、たんぱく質合成の環境づくりという面と、適度な体脂肪を維持することで、高重量を怪我なく扱ったり、抵抗力を高めてアグレッシブなトレーニングを続けられる体力を持たせるのに重要。
但し、ムダに脂肪を乗せすぎれば減量をハードに行う必要が出てしまいます。体質にもよりますが、減量が過酷になれば、せっかくつけた筋肉まで落とす事になり、それは年々筋量を増やす事にマイナスに作用すると考えた方が良い気がします。(選手として成績を残す事を考える場合は、オフだからと闇雲に食事を取るのではなく、オフとしてのコントロール自体は続ける必要があるということ)
※私の場合を例に挙げれば、特にマス種目は体幹の太さで重い負荷のコントロールが可能になるという認識があるため「ウエスト周りを75cmまで戻す」などといった目安を作っていました。
<オフ期に食事量を増やす意味合いは>
合成に関わるインスリンの分泌が十分に行われる必要があるが、脂肪の乗せすぎを避けるために食事の軸を作り、高カロリーでバランスよく栄養摂取ができている状態。インスリン抵抗性の事を考えて、増量中でも飽和脂肪酸の摂取量は控えることは意識。
・高カロリー摂取していても体重が増え続けるようなことがなく、ある一定の体重のまま維持できれば、減量期に必要な栄養素を不足なく摂取し続けながらの減量が可能になる(オフシーズンまで低カロリー食では筋量を効率的に増やせない上に、体脂肪を落とすためにそこから更にカロリーを下げる必要が…。
脂肪を落とす =脂肪分解を優先させる
減量を「カロリーをどれだけ下げるか」で考えてしまうと、体に絶対的に必要な栄養素までをカットしてしまう事になり、それは代謝を下げて体脂肪を落としづらい身体を作る原因になってしまう。身体に絶対的に必要な栄養素を不足なく摂取していくためには、やみくもにカロリーだけを下げるのではなく、身体に最低限必要な栄養素が不足なく取れている状態が望ましい。
減量に入った途端に急激に食事量を減らしてしまう人がいるが、減量初期はまずは嗜好品などの無駄なものだけを省いただけでも体脂肪が落ちてくることが多い。
→嗜好品などの、本来身体づくりに必要ないもののみ摂取を控える
→身体をつくるために最低限取った栄養素をムダなく使える食べ方
私が「ムダをつくりやすい食べ方」と捉えて避けていたのは
◎栄養素の適正比率を無視した食べ方
◎ 1つの栄養素を、必要量を極端に超した量摂る
◎ 吸収の早いものを摂取する(糖質のみならず、たんぱく質についても)
その時その時に必要な栄養素の量は限られている。吸収の早いもの(または食べ方)は、身体づくりに必要といわれているものでも、その瞬間に必要な量だけに留める
私が意識していたことは
◎代謝を含めた体の機能を正常に働かせるためには、身体に必要な栄養素や非栄養素を、バランスよく&最低必要量摂取できている事が大切
◎ムダを作らないためには「吸収をゆっくりさせる」「過剰に摂ったものの排除に関わる栄養素類の摂取を心がける」これには食物繊維が大きく関わる。また、過剰栄養素の排除にはビタミン・ミネラル・ファイトケミカルなどが大きく関わるため、副菜の摂取を常に心がける
PDFは、オンとオフに分けた大まかな内容の違いをまとめたものです。
以前書いた様に私のピリオダイゼーションでは、オンは減量期と調整期に、オフは移行期と準備期に分けてそれぞれ食事の内容も多少違えていましたし、トレーニングの時間帯が大きく変化した時期もあり、PDFの通り…ということではありません。ただ、今回書いてきたように身体づくりの2つの局面に分けて考えた場合のまとめとして、参考程度に載せておきます。
