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理想的な身体づくりへの私の助言・提案として…

 大学で学んだ運動生理学・解剖学を土台に、練馬区立健康増進センターで運動生理学の権威でいらした所長の下14年間公務員として働きながら得たもの、空手から得たもの怪我から得たもの、そして生活のほぼ全てをボディビルで勝つための生き方にした経験から得たもの。
・・・文字として表現するのは難しいのですが、私の所に身体づくりを学びに来て下さる人達に、基本のキの字として伝えていること等も含めて、コラム形式で2~3週間毎に少しずつ内容を変えながら紹介してみたいと思います。

コラム75 ターゲットとする筋のコントラクトポジションは理解できているか?

 前回のコラムでは、鍛えようとしている筋のストレッチポジションを理解し(その体勢をきちんと作るのを防御してしまうような硬さの除去方法も含めて)、その位置から負荷をかけて筋の収縮をさせるようなトレーニングが鍛えたい筋肉を大きくさせるための一つのカギにもなるという事を書きました。

 但し当然、コントラクトレンジポジション(ターゲット筋の完全収縮のさせ方)についても、理解が正しいものでなければ筋肉の発達効率は半減してしまうでしょうし、場合によっては怪我の原因を作ったり姿勢の悪化にもつながってしまいます。

 今回は、そうしたことを回避する意味も含めてコントラクトポジションの理解について、あくまでもヒント程度の内容になりますが書いておこうと思います。

 体幹の筋肉は、付いている場所と走行に加えて様々な関節との関わり合いも考える必要があります。鍛えようとしている筋肉をどう収縮させるか?についても、ストレッチレンジポジション同様、特に広背筋や大胸筋のが「修正が必要」な部位の筆頭に上がるのではないでしょうか。
 教科書にも必ず出てくるような、これぞという典型的な例としては、大胸筋を大きくする目的なのに、前鋸筋や小胸筋を大きく働かせてしまう…というのが挙げられます。

大胸筋を鍛えるプレス種目のフィニッシュポジションにおいて、菱形筋(肩甲骨をセッティングして「良い姿勢」を作ろうとすると働く筋肉です)の収縮が甘く、肩甲骨を外転(外に開く)させてしまうと、大胸筋はあまり収縮しません。

…画像で確認すると解りやすいかもしれませんね…

画像1:肩甲骨セッティングのできた状態

画像2:肩甲骨セッティングしていない状態

 画像1では、菱形筋を働かせて肩甲骨の位置をプレスのフィニッシュ時にも「セッティング」させている状態です。これによって「大胸筋の停止部を起始部に向かってダイレクトに近づける」状態を作ることができます。大胸筋が確実に収縮して筋肉が大きく盛り上がっているのが分かるかと思います。

 一方、画像2は肩甲骨を外転させている状態ですが、停止部が大胸筋起始部に向かわず、ただ身体の前方に向かってしまっています。前鋸筋や小胸筋の収縮でのプレス動作になり大胸筋自体はあまり収縮していないのが分かりますよね…。画像2のようなプレスは、肩甲骨と上腕骨とを安定した位置に固定できないため肩のケガの原因にもなりますし、強く働く小胸筋が硬くなって、肩の上面を前方を向けた姿勢(前肩とか巻き肩なんて言いますね)を助長します。それは肩甲骨を引き上げる筋肉なども硬くし、首を前に出し背中が丸い姿勢を作っていくことにもなります。

 肩甲骨を外転させながらのこうしたプレスを防ぐために「肩甲骨を寄せて」という声かけを耳にします。確かにそれでも大胸筋は収縮するのですが、肩甲骨を背骨方向に寄せる表面に付いた強力な僧帽筋(特に強い上部や中部繊維)を働かせすぎると、大胸筋の停止部はやや停止部が後方に引けて大胸筋の収縮がやや甘くなります。私はあくまでも、脇の下を骨盤に押し下げながらみぞおちを引き上げる「肩甲骨のセッティング」で、菱形筋の収縮のみを意識しています。
(毎度書きますが、大胸筋肥大や、それ自体の筋力強化が目的ではなく「強いプレスの動作力を作る」のが目的なら、大胸筋以外の筋肉も利用する身体の使い方も必要だという事は言うまでもありません)

 

 次にロウイング種目について。あくまでも「引く動作の強化」を目的としてトレーニングするのであれば、筋肉のコントラクトポジションに、そこまでこだわる必要はないかもしれません(姿勢が悪くなる可能性はでてきますが)。

 しかしながら、背部に存在する各筋肉を確実に鍛えたいとか、日ごろの癖で付いてしまった弱い筋肉と強い筋肉との差を改善する…などといった目的でトレーニングする場合であれば、「背部のどの筋を鍛えるのか」という目的を明確にして、それぞれの筋肉のコントラクトポジションをフィニッシュ時に作る必要が出てきます。

 鍛えたい筋肉は広背筋なのか…僧帽筋の中部なのか…下部なのか…三角筋のリアなのか、はたまた腕の曲げ伸ばしの強化なのか…高重量を引く動作ができるようになりたいのか?を明確にして、それぞれのコントラクトポジションを正しく取れることが、確実な筋肉の発達には重要なのです。

 例えば肩甲骨の寄せを意識すれば僧帽筋(…引く方向によって中部繊維主働か下部主働かの違いが多少出ますが)。肩甲骨を寄せずに肩甲棘辺りをちょうつがいの様に意識してロウイングし収縮に至れば三角筋リア(引き方によっては大円筋)。わきの下を肋骨上を滑らせて骨盤背面上部に近づける収縮なら広背筋…といったように、強く収縮させている筋肉が変化します。それぞれの筋肉の起始と停止を確実に近づけられる身体操作を考えたコントラクトポジションを作るのが大事かと思います。

腕の筋肉を鍛える目的であれば別ですが、肘の曲げ伸ばしをしっかり行うべきなのか否か(どの程度必要なのか)についても考えると良いですよね)。

 広背筋については、姿勢筋である菱形筋を同時に働かせずに鍛えると円背になる可能性もあります。「筋肉は大きくなったけれど、なんだか背中が丸くなり姿勢が悪くなった」…にならない様に、こうした部位については他の筋肉の共同のさせ方…についても考えながらトレーニングすることも大事かと私は思います。

身体づくりに関する 簡単なアドバイス 

動きの軸や支点を考えてトレーニングしよう

 身体を動かすときに何も考えずに動かすと、自分のクセがそのまま出た動かしやすい動きとなります。自分では左右対称の動きをしているつもりでも、全くもって非対称な動きとなることも多くあります。

スポーツなどについては動きのほとんどが左右非対称となりますから、そうした動きの中でもっともパフォーマンスを上げやすい動きを追求すべきですが、トレーニングを非対称な動きで行なってしまうと筋力の左右差を増大させて、それが痛みや怪我の原因を作り出す可能性もあります。

 これを防ぐために最低限意識してほしいのは動きの支点と方向。左右に身体を倒したり捻ったりするだけでも無意識に行なうとおおよそ左右バラバラな動きになります。体幹であれば動かす支点が「みぞおち」なのか「へそ」なのか、・・・支点の分かりやすい腕の曲げ伸ばしであっても、上腕をどの方向に向けて前腕をどの方向に向けながら上げているのか?など、常に意識しながら行なう事が大事です。

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